幸せな日々は有限である

自分自身も家族も友達も普通に健康で普通の生活を送っていられるという事は、ごく普通の状態でありながら、実に短く限られた期間に限定された有限の状態なのである。
大人になった今、自分自身の健康や生活を維持する事ですら、非常に困難である事に気付く。何も考えず与えられた物を当たり前のように享受でき、それを当然と思えるのは子供時代だけである。学校を卒業した以上は、決して親に経済的に負担を掛けてはならない。気の弱い人間は、逃げ場もない状態で心身を消耗させながら、日常の仕事を何とかしてこなす。まともな仕事にすら就けない人間は、派遣だろうがバイトだろうが非人道的環境のブラック企業だろうが、とにかく金を稼ぐために、なりふり構わず働く。子供の頃は「将来は普通に会社とかで働くんだろうな」と思っていたが、大人になってその「普通に会社で働く」事すら難しい事に気がついた。普通に税金を納めるのも難しい。自分の面倒を見ていくだけで精一杯。家族なんてとても養えやしない。働けなくなったらのたれ死ぬしかない。

退屈な日々に不満を感じる子供たちよ、今は大いに愚痴っていればよい。君たちの年頃で、何でもない退屈な日々を幸せであると気付いてはいけない。いずれそう遠くない未来に、それを身をもって体験する事になるのだから。